鼠経ヘルニア&臍ヘルニアの手術体験記

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この記事は、医療関係者でもなんでもない一般人の私が2025年末に体験した鼠経ヘルニアと臍ヘルニアの入院手術の体験記です。

その為「鼠経ヘルニアとは?」というような鼠経&臍ヘルニアの病気自体の解説をした医学的な内容ではありません。

これから鼠経ヘルニア、臍ヘルニアの手術を受けるにあたり、心配になられている方へ向けた「実際にはこんな感じだった」という体験者のレビュー記事的な感じで読んでいただければ幸いです。

【注意】
あくまでも個人的な感想を書いたものになります。

痛みの感じ方などは個人差に因るものがかなり大きいので、私の感想を丸ごと鵜呑みにはなさらない様にご注意ください。ちなみに私はかなりの弱虫&痛がり屋です(笑)

また、私の場合、ついでに臍のヘルニアも同時に行っている為、純粋な鼠経ヘルニアの手術の場合とは若干異なる可能性があります。

見た目無症状の鼠経ヘルニアの発覚

発見の経緯

2025年の秋。ある朝起きると、右の鼠径部(下腹)に「ズキン、ズキン」という断続的な鈍痛がありました。

激痛というほどではなく、また日曜日だったこともあり、その日は1日様子を見ることに。 しかし、翌日の昼になっても痛みが続いたため、地元の胃腸科を受診しました。

(結果的には、この鈍痛があった期間はこの1日半だけでした。なので、この痛みが=鼠経ヘルニアの症状、ということは考えにくいです。まあ発見のキッカケにはなりましたが。)

鼠径部の見た目は異状なし

鼠経ヘルニアはいわゆる脱腸なので、通常は見た目がポッコリと膨れるという分かりやすい症状があります。

しかし私の場合は、その症状が出ていなかったので、最初は鼠経ヘルニアとは思っていませんでした。

(後に触ってみると、言われてみればヘルニアになっていない左と比べて少しポッコリとした感触があるかなーという程度)

ですが、場所的には鼠経ヘルニアも位置だったため、私の方から先生に、
「先生、場所的に鼠経ヘルニアってことはないですかね?」
と質問し、検査をしてもらいました。

検査と言っても、その場では触診だけでしたが「あ、確かにちょっとなってるな」と言われてしまいました。

この日は特にレントゲンやCTスキャン等は撮られずに触診のみで終了。

初期段階のヘルニアの今後の方針

診断の結果、まだ初期段階(軽症)だったために、医師からは「今すぐに手術しなければならない段階ではない」との説明を受けました。

同時に「手術をする前提で紹介状を書きましょうか?」とも聞かれましたが、さすがにその場での即答は出来かねたので、一旦は具体的に何も決めず、紹介状も書いてもらわずに帰宅しました。

しかし、今は軽症といっても鼠経ヘルニアは「嵌頓(かんとん)」と呼ばれる重篤な症状を引き起こす可能性もあります。
さらに、鼠経ヘルニアを抱えたままでは、重いものを持つことが推奨されません。

私の仕事には重い荷物を扱う作業が含まれています。

「嵌頓の心配もあるし、このまま仕事を続けて悪化するのは不安だ」と考え、職場と相談した結果、思い切って手術を受けることに決めました。

新たな病院と、まさかの追加診断

幸い、自転車で5分程度の場所に、入院手術ができる大きな病院がありましたので、 後日、そちらを直接受診し、これまでの経緯を説明。

(結局、最初の病院では紹介状は書いてもらわなかったです)

その日のうちに手術の申し込みを済ませてしまいました。

そのまま入院に備えて、レントゲンやCTスキャン、血液検査や心電図などの検査を実施。 一通りの検査を終えて診察室へ戻ると、CTを見た先生から思いがけない言葉をかけられました。

先生「お臍のヘルニアもなっていますね、軽度ですが」

まさかの併発です。

話を聞くと同時に手術できるとのことなので、鼠経ヘルニアと臍ヘルニアの手術、二か所同時に受けることになりました。

手術方法と入院の日数

手術方法

鼠径ヘルニアの手術方法は、腹腔鏡で「メッシュ(網)」を貼り付ける手術方法に決まりました。

お臍と横腹から腹腔鏡を入れるので、ついでにお臍のヘルニアの手術もできちゃいます。

お臍のヘルニアもメッシュという選択肢もあったのですが、先生と相談し、今回はメッシュを使わず、開いてしまった筋肉の膜を直接縫い合わせて穴を塞ぐ方法「縫合閉鎖術」になりました。

私の場合ですが、手術の時に入れた腹腔鏡は下図の黒い丸の2か所とお臍からの合計3か所でした。

入院日数

手術方法が決まり、次はスケジュールの話です。
そこで思わぬ日数が告げられました。

先生「約1週間の入院となります」

「鼠経ヘルニア 入院」と検索すると「日帰り手術」「1泊入院」というワードが多く見られます。

実は、この病院に決める前に相談した、鼠経ヘルニアの手術に強い別の病院でも、

「うちは基本は1泊入院」と言われていました。

その為、私も「簡単な手術で1泊程度で退院できるものなんだろう」という認識でいたのですが・・・。

先生から「1週間」と言われた時は、「え!?1週間?聞いてた話と違うぞ」と困惑。

1週間入院で「大正解」だった

日帰りか1泊入院がスタンダードだと思っていたので、急に1週間と聞いて、ちょっと凹んだのですが、結果的にはこの1週間の入院が私にとっては正解でした。

手術を受けた正直な感想を一言で言うなら、これに尽きます。

「腹腔鏡とは言え、さすがに痛い。1週間入院できる病院にして本当に良かった」

痛みの感じ方(閾値-いきち-)には個人差がある為、一概には言えません。ですがあの痛みを体験して身としては、
「これ1泊で退院できる人マジで凄いな」と心底思いました。

入院(入院初日)

今回は手術の前日に入院して、翌日のお昼に手術というスケジュールでした。

初日は、午前中に入院の手続きと説明を済ませ、入浴後に点滴の針を刺しただけで終了です。

本来は、この日に爪切りや剃毛(ていもう)などの事前準備を行うようですが、私は自宅ですべて済ませてきたため、特にやることはありませんでした。

一応、全身を拭くことができるボディシートと髪の毛を拭く用のシートを持って行ったのですが、なかなか役に立ちました。

手術するとしばらくシャワーとか浴びれませんからね。

手術日(入院2日目)

翌日はいよいよ手術当日。麻酔科の方が来て説明をされ、いざ手術室へ。

全身麻酔なので、個人的な感覚ではあっという間に終了。

病室へ帰還。

この日は、麻酔と鎮痛剤の影響で、まだ意識がボーっとしていました。

病室で暇つぶしをしようと思えばできましたが、体がしんどかったため、無理せずずっと寝て過ごしました。

顔には酸素マスク、下はお小水の管が入った状態です。

このまま翌朝を迎えます。

手術の翌日(入院3日目)

意識の回復と、残る痛み

手術当日は麻酔の影響で意識が朦朧としており、「寝たのか寝ていないのか」も判然としない一夜を過ごしました。

翌朝には意識がかなり鮮明に戻りましたが、まだ完全にはシャッキリしません。

麻酔は切れているはずですが、痛みが強いために鎮痛剤を使っていた影響もあったのかもしれません。

薬は効いていますが、痛みがゼロになるわけではありません。 常に「中レベルの痛み」が体の奥で続いている、そんな感覚でした。

お小水の管が外れ、自力での移動開始

お昼過ぎくらいにお小水の管が取れました。ここからはトイレに行くためには自力で立ち上がらないといけません。

病院のベッドは電動ベッドだったので、上半身を起こして頑張って立ち上がりました。

ここが最初の難関でした。とにかく痛い。

この時は率直にこう思いました。

「1泊入院だとこの状態で帰るのか!?僕には無理だったな。良かった1週間入院のところで」と。

ただ、繰り返しになりますが、私は同時に臍ヘルニアの手術も受けている為、鼠経ヘルニア単体の場合より痛みが強かった可能性はあります。

術後初めての歩行

術後初めての歩行は、ちょうど面会に来ていた家族に支えてもらい、なんとかトイレまで移動しました。

またお小水の管が抜けた初日は、結構なレベルの排尿痛がありました(排尿痛は1日ごとに痛みレベルが下がっていきます)

入院4日目(手術から2日経過)

回復とリハビリの開始

ここからは、日に日に体調が良くなっていく感覚です。

この日から、本格的に院内を歩くリハビリを開始しました。 本来は3日目(手術翌日)から動くべきだったのかもしれませんが、昨日は痛みが強く、トイレに行くだけで精一杯でした。

(先生曰く、痛みレベルは本当に個人差が大きく、翌日からスタスタ歩ける人もいるのだとか。個人的には信じられませんが(笑))

具体的なリハビリ量

リハビリは、無理のない範囲で複数回行いました。

当時のデータ(スマートフォンの記録)を確認すると、「1回あたり約20分」を、2時間おきに「計6回」歩いていました。

まだ痛みは残っており、腕には点滴も繋がったままなので、 点滴台(スタンド)をガラガラと押し、支えにしながら院内を周回しました。

入院5日目(手術から3日経過)

点滴からの解放

 5日目には点滴が外れました(もしかしたら4日目だったかもしれませんが、記憶が曖昧です)。 管が抜けたことで、痛み止めは点滴から「飲み薬」に変更となりました。

身軽になったことで、昨日に続き「歩くリハビリ」と「暇つぶし」を繰り返す一日となりました。

退院日(入院6日目・手術から4日経過)

朝食を終え、退院の支度を始めます。

まだ体を曲げると痛みがあり、腹圧をかけるのも良くないため、動作はそーっと慎重に行いました。

傷口の状態(穴の数と大きさ)

今回の腹腔鏡手術では、合計3箇所に穴を開けました。 お臍に1箇所、横腹に2箇所です。

横腹はガーゼ、お臍はコットン球のようなものが窪みに入れられ、その上にハニカム構造の特殊なガーゼを当てられその上から防水テープで保護されています。

私の場合、穴の大きさは以下の通りでした。

・お臍:1cm

・横腹:5mm × 2箇所

準備を整え、いよいよ退院です。

自宅療養編

自宅1日目(退院直後)

6日ぶりに自宅へ戻ってきました。

ここからの生活での最重要ミッションは、「とにかく腹圧をかけないこと」です。 特に今回は、お臍のヘルニア手術も併用しているため、お腹への負担は厳禁でした。

 

寝室・ベッド

腹圧をかけないで済むように、入院前に色々と準備を済ませておきました

ベッドの購入

元々は畳に布団を敷いていました。ただ、床から立ち上がる動作は、上手くやらないと想像以上に腹圧がかかるとのことなのでベッドを購入。

起き上がり方を予習

腹部を手術した人用の起き上がり方をYouTubeで予習し、練習しておきました。

病院は電動ベッドでしたが、自宅にはさすがに無いので、これは練習しておいて正解でした。

杖(支え)の設置

ベッドの配置上、手で掴まる場所(手すり)がなかったため、杖代わりになりそうな棒を枕元に用意しました。

棚やタンスに掴まると、重さで自分の方に倒れてくるリスクがある為、大変危険です。

食事と栄養素

傷の回復を早めるため、以下の栄養素を意識しました。

・タンパク質

・ビタミンC

・亜鉛

・鉄分

理想を言えば食事ですべて摂取したいところですが、現実的にはサプリメントで補いました。 とはいえ、退院直後は栄養バランスを常に意識して摂取を続けました。

お風呂と傷口のケア

退院時の傷の状態とケアは以下の通りです。

・横腹の傷(5mm × 2箇所) 小さな傷だったため、帰宅時には表面はほぼ塞がっていました。 病院で貼られていたガーゼを剥がし、入浴後は市販の絆創膏へ切り替えました。

・お臍の傷(1cm) こちらは傷が大きいため、透明の防水保護フィルムが貼られています。 まだ抜糸が終わっていないため、次回の通院までは貼りっぱなしです。

どちらの傷からも、まだ浸出液(体液)が染み出してくるため、当面の間はガーゼやフィルムでの保護が必須だと感じました。

自宅療養2日目(手術から5日経過)

痛みと動作の制限

帰宅後も数日間は、鎮痛剤を服用して過ごしました。 この時点でも痛みは健在です。

特に「横になる時」「起き上がる時」「寝返りを打つ時」の動作は、痛みが走るため苦労しました。

くしゃみ・咳への対策

再発防止のため、腹圧のかかる「くしゃみ」や「咳」は、可能な限り我慢するように心がけました。

とはいえ生理現象ですので、完全には防げません。 どうしても出てしまう際は、「手でお臍(傷口)を押さえる」ようにしました。

「腹部の手術後は、傷をクッションや手で押さえて腹圧を分散させると良い」 このセオリー通り、私もとっさにお臍をガードして痛みを凌ぎました。

自宅療養3日目(手術から6日経過)

前日と大きな変化はありません。 引き続き、安静と痛みのコントロールに努めました。

自宅療養4日目(手術から7日目)・抜糸日

抜糸と、浸出液との戦いの始まり

この日は傷口の抜糸です。 抜糸自体は一瞬で終了。痛みもほとんどありませんでした。

その場で、新しいガーゼを臍部に当ててくれたものの、今後のケアをどうするかについて一切話が出なかった為、自分から質問しました。

私:「おへそにガーゼはしばらく貼った方が良いですよね?」
医師:「まあ、浸出液が染み出してくるようなら」

先生の口ぶりから「数日で止まるのかな」と予想して帰宅しましたが、結論から言うと、浸出液が完全に止まるまで「約6週間」かかりました。

※臍ヘルニアの手術もしているので、鼠経ヘルニアの手術のみの場合とは異なるかも知れません。

必須アイテム:滅菌ガーゼ+テープ

お臍からは浸出液が染み出してくるため、常にガーゼを当てる必要があります。病院からガーゼの支給等は無いので、自分で購入する必要がありました。

【購入品】個包装の滅菌ガーゼとテープ

個人的には、大判のガーゼではなく「個包装タイプ」を強く推奨します。

理由は衛生面です。

大判を切って使う場合、ハサミで好きな大きさにカットできる上に、個包装の滅菌ガーゼに比べて安価、というメリットはありますが、一般家庭では十分なハサミの滅菌処理ができません。

開封したガーゼに雑菌が付着するリスクを避けるため、割高でも「取り出してすぐ貼れる個包装」を選びました。

多少割高ではありますが、包装から取り出してすぐに使えるので利便性はこっちの方が高いと思います。

この日から、1日2回のガーゼ交換生活がスタートしました。

テープはドラッグストアのガーゼや包帯のコーナーに多分一緒に陳列されています。

肌が弱い人用や幅も色々あるためご自身にあったものをチョイスしましょう。ダイソーでも売られています。

実践:お臍のケア・マニュアル

 

横腹(5mmの傷)からの浸出液は退院後1~2日で止まりましたが、お臍(1cmの傷)は約6週間出続けました。 その間、私が実践していたケア方法をまとめます。

入浴のルール(自己判断)

浸出液が止まるまでは、湯船には浸からず「シャワーのみ」で済ませました。

(※医師からの指示ではなく、質問し忘れたためのAIに訊いた上での自己判断です。)

洗い方

・泡で洗う:ボディソープをしっかり泡立て、「もこもこ泡」で優しく包むように洗います。泡で出てくるタイプが洗いやすかったです。

・擦らない:指でゴシゴシと擦るのは厳禁。最後はシャワーの水圧だけで濯ぎました。

※私が購入したのは以下のボディーソープでしたが、医師から勧められたものではありません。自己判断で購入した物です。

入浴後のケア(夜)

1,お風呂上がり、清潔なティッシュでお臍の水分を優しく吸い取る。

2,ドライヤーの風を当てて、しっかりと乾かす。

3,新しい滅菌ガーゼを当ててテープで固定。

朝のケア 翌朝のガーゼ交換時は、シャワーは浴びません。 ティッシュで浸出液を優しく吸い取って清潔にし、新しいガーゼに交換して終了です。

 

自宅療養5日目以降

ここからは、特に新しい処置はありません。 日々、腹圧をかけないように注意しながら、日常を取り戻していく期間です。

生活上の制限:重いものはNG

医師からの指示は、基本的に「重いものは1ヶ月間持たないこと」これだけは厳守です。

そのため、スーパーでの買い物は家族や友人に頼るか、自分で行く際は少量の買い物に留めました。

今はウーバーイーツといった出前系も充実しているので、そういったものを使うのも良いかも知れませんね。

1ヶ月検診

手術から1か月後に検診の為、受診。

診察の結果、経過に問題はなかったため、これにて病院に来る検診は終了となります。

以降は「また何かありましたら受診してください」という感じで、何か再発などが起こった場合のみ再受診になります。

結局、痛みはいつまで続くか

通院治療は終了しましたが、体の感覚が元通りになるには、もう少し時間がかかります。

メッシュ部の痛み

メッシュを留置した鼠径部は、治っていく過程で「痛み」や「疼き(ズキズキ感)」が、予想以上に長い期間続きました。

ただし、一日中ずっと痛むわけではありません。「忘れた頃に、たまにズキズキする」といった散発的な痛みです。

痛みはこの記事を執筆している「術後約10週間経過時点」でもたまーに弱く痛みます。

なので、1~2ヶ月は続く可能性がありますが、かなり個人差があるはずなので、断言は難しいです。

お臍の痛み・違和感

鼠径部よりも気になったのが、お臍です。

ここは直径1cmのカメラを通して処置を行っているため、鼠径部よりも強い痛みがありました。

痛みの質も少し異なります。単純な痛みというよりは、以下のような感覚に近いものでした。

・ツッパリ感

・腫れている感覚

・異物感

皮膚が引っ張られるような、中に何かが詰まっているような、独特の違和感がしばらく残りました。

おわりに

本記事は、あくまで一人の患者としての「実体験」に基づいた記録です。

記事の中には、病院での診察後に「あ、あれを聞いておけば良かった」と後悔し、後からインターネットやAIを使って自分で調べた情報も含まれています。

そのため、すべての内容において医学的な正確性を保証するものではありません。

症状や治療方針には、大きな個人差、病院差があります。

ご自身の体調について不安な点がある場合は、本記事の情報だけで判断せず、必ず主治医の診断を仰ぐようにしてください。

この記事が、これから手術や治療に臨むあなたの不安を、少しでも和らげるお役に立てれば幸いです。
辛い時期かと思いますが、一日も早い回復を心からお祈りしています。

著者紹介

月宮エナ

月宮エナ

書店員、飲食店経営を経てブロガーに転身 生活に役立つ知識や方法、雑学といったものを人に説明することが好きなブロガー

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