「確信犯」「役不足」「姑息」など、誤用が多い日本語と本来の意味

確信犯

・誤用ー「悪いこととわかっていて悪さ、行為、犯罪をすること」
・本来の意味ー「政治的、宗教的あるいは道徳的に正しいと確信して行われる行為」

<解説>

文化庁の調査によると、「確信犯」の意味を、「悪いことと判っていて行う行為」と認識している人は、70%にも及び、本来の「政治的、宗教的に正しいと確信して行われる行為」と認識している人は、僅か17%にとどまりました。

誤用の方の意味を表す言葉は、「故意犯」といいます。

確信犯は「思想犯」「政治犯」とも言われている通り、割と大きめなスケールの話しになります。宗教改革や反政府軍、革命軍などが確信犯となり得ます。正しいことと認識し、または正当性を持って行われる行為のことを指します。

<故意犯>
この人の所有しているパソコンを壊せば、またウチの店から買うことになるから、バレないようにあとで壊れるように細工してしまえ


<確信犯>
パソコンは危ないサイトをみて変な思想を植え付けられてしまうから、こんなものは無い方がこの人の為だ、壊してやる!


<過失犯>
パソコン修理に来て、こうすれば直ると思って行った処置が、実は誤った方法であり、より壊してしまった。

役不足

・誤用ー「与えられた役割に対して、自分の力が不足している時に言う謙遜」
・本来の意味ー「力量のある人に、軽い役割を割り振ること」


<解説>

誤用している人の多くが、「力不足」と間違えてしようしています。


役不足は、人と役とを比べた時に、役の方が力が足りてない状態、例えばベテラン俳優にちょい役、脇役を配役したような場合に用いられます。つまりは、役不足は褒め言葉、になるのです。



漫画などにも、間違って使われているケースとても多く、「君たちでは役不足だ」と書かれているセリフがあるが、恐らくは「君たちでは力不足だ」と書きたかったであろうと思われます。

愕然

・誤用ー「ガッカリすること」
・本来の意味ー「大きく驚くこと」
<解説>
愕然の「愕」の字は、「驚く」という意味。がっかりするという意味はありません。

姑息

・誤用ー「卑怯なこと、汚い手段を使う相手を表現する言葉」
・本来の意味ー「一時しのぎの手段、その場しのぎ」
<解説>

姑息の「姑」とは「しばらく」という意味で、「息」は「休息」という意味で、その場限りの一時的な手段、方法という意味。しかし、調査によると約70%以上の人が「卑怯」という意味で認識されています。
 

潮時

・誤用ー「ものごとを終わらせる、引き際などに丁度良い時機」
・本来の意味ー「物事を始めたり、または終わらせたりするのに丁度いい時機」
<解説>
潮時は、よく「引き際」や「終わりにするとき」などに使われますが、何かを始める際にも使われます。なので、完全に誤用という訳ではありません。というかむしろ間違ってはいません。終わりだけじゃなく「始まり」も含まれます。
 

煮詰まる

・誤用ー「行き詰まり、何も解決策や良い案が出てこない状態、スランプ」
・本来の意味ー「十分検討されて、結論が出る頃合い」
<解説>
誤用と本来の意味が真逆になってしまっている例。どちらの意味で認識しているかという調査でもおおよそ半々という結果になっています。
最近では、辞書に「時間が経過するばかりで、これ以上新たな展開が望めない状態」という誤用の意味でも記載されていることもあります。

にやける

・誤用ー「イヤニヤと笑みを浮かべること」
・本来の意味ー「男性が女性の様に色っぽい仕草をする、なよなよしたり、おめかしすること」
<解説>
「にやける」は「若気る」と書きます。本来の意味が全く原型を留めていない例です。「にやける」が「うっすらと笑う」という意味になったのは、恐らく「ニヤニヤする」「にやりと笑う」から来ているのだと思われます。

弱冠

・誤用ー「若い年齢のこと」
・本来の意味ー「男子の20歳のこと、20歳前後の男子のこと」
<解説>
弱冠とは、年齢が若いわりに何かを成し遂げたりした際に、「弱冠〇〇歳にして偉業達成」といった具合で使用されます。しかし、元々が20歳のことを指す言葉なので、あまりにも若すぎる6歳や10歳といった年齢には用いられません。
同じ読みで「若干」という言葉がありますが、年齢に使わないので、「若干20歳」とするのは誤りです。

穿った見方

・誤用ー「ひねくれた見方、ねじ曲がった見方、疑った見方」
・本来の意味ー「物事の本質を捉えた見方」
<解説>
穿った見方の「穿つ(うがつ)」とは、「貫く、穴を開ける、突き通す」という意味。また「人情の機微に触れる」「物事の本質を的確に言い表す」という意味も持ちます。
機微(きび)とは「表面だけでは知ることのできない微妙な趣き」という意味。つまり「的を射ている」」「正鵠を射る」というのと同じような意味です。
ちなみに「的を得る」とも書き表せれることがありますが、本来は「的を射る」だとされています。
 

情けは人の為ならず

・誤用ー「親切にしてあげると、その人の為にならない」
・本来の意味ー「人に親切にすれば、やがて巡って自分の為になる」
<解説>
人に親切にすると、その人の助けにもなるけど、巡り巡っていずれは自分の為になる、という意味です。
 

最高学府

・誤用ー「東京大学」
・本来の意味ー「単に大学のこと」
<解説>
その国における、最も高次の学問を学ぶ教育機関のこと。テレビで東京大学に取材などをする際に「日本の最高学府、東大では・・」とナレーションが入ることがありますが、全ての大学が最高学府に当たります。
 

知恵熱

・誤用ー「頭をフル回転した時にオーバーヒートして出る発熱」
・本来の意味ー「生後6ヶ月から1歳児にみられる発熱」
<解説>
普段使わないレベルで難しいことを考えたり、悩んだり、計算したりと、頭を使いすぎた際に出る発熱と思われている場合がありますが、乳幼児がちょうど知恵がついてきた頃合いに発症することから「知恵熱」と呼ばれています。
 

気が置けない

・誤用ー「気を遣う必要がある相手、油断ができない相手」
・本来の意味「気を遣う必要のないほど親しい間柄」
<解説>
「置けない」という「〇〇しなければならない」という否定的な表現から、意味を逆を捉えてしまっている方が多いと思われます。
 

ハッキング、ハッカー

・誤用ー「コンピューターを使用して相手のパソコンに侵入したり、情報を盗んだりする犯罪」
・本来の意味ー「コンピューターに熟知した者、エンジニアリング行為そのもの」
<解説>
元々は、パソコンに詳しい人や高度な情報技術に精通した人のことを「ハッカー」と呼んでいたが、現在では「ハッキング=犯罪行為」と見なしており、日本においては、もはや誤用と言えなくなってきています。
パソコンによる、データ改竄や不正アクセスなどは「クラッキング」、それらをする人のことは「クラッカー」と呼ぶのが正式です。
 

総括

ここに挙げたものは、誤用されやすい言葉のほんの一部に過ぎませんが、なるべく出現頻度んオ高そうなものを選んでみました。

しかし、言葉というのは、意味が時代と共に変化することもあり、ここに挙げたものも、本来の意味よりも、誤用での認識の方が多数派のものもあります。

その場合、本来の意味で使ったはずなのに、「間違えているよ」と指摘を受けることもあります。それを指摘し直すのも角が立つ可能性がありますが、「気が置けない人」ならそっと教えてあげても良いかもです。

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