スカンクの悪臭

スカンクは日本で生活している限りは、動物園などに行かないと、見る機会は滅多にありません。

とはいえ、その見る機会の少なさに反比例するように、知名度だけは抜群に高い動物、かも知れません。

その理由といえば、やはりスカンクの放つ「悪臭」ですよね。

 

スカンクの悪臭

尻尾の付け根付近から放出する分泌液が、悪臭の正体であり、外敵から身を護る時に放出する護身術です。

その臭いはまさに悪魔の一撃に等しく、直接嗅いでしまうと余りの臭さに悶絶必至です。

臭いの感じ方も個人差があるので、何とも表現が難しいようですが、ニンニク臭かったり、ごま油をさらに発酵させた感じだったりと、例えはさまざま。

その臭いは、無風状態でも半径1㎞、風に乗れば、2㎞も拡散してしまうほど強力な臭いとなっており、近所でというか市内で放出して欲しくない一撃ですね。

ペットとして人気のフェレットも同様に、非常に悪臭を放つ分泌液を飛ばします。

臭腺除去手術を施すことで、分泌液は飛ばさなくなるのですが、動物園などで飼われているスカンクも、これと同様に臭腺が除去されているので、悪臭は出さなくなります。

分泌液は皮膚に着くと大変

運の悪いことに、この分泌液は人間の皮膚のたんぱく質と相性が良く、皮膚に付着すると結合してしまい、なかなか臭いが取れないのです。

日本では目にすることはありませんが、専用の脱臭剤が販売されているようです。

生息地域に住む場合は、もしもの場合に備えてひとつ買っておきたいところですね。

数少ない持ち弾

実はスカンクは、この最終手段となる分泌液を5~6発しか打つことができません。

しかも全て打ち尽くしてしまうと、充填するの1ヵ月もの時間を要します。

1回に放出する量は僅か3cc程度。その量でありながら半径1~2kmにいる
あらゆる生物を悶絶させる力を持っています。

打つのはあくまでも最終手段で、その前に威嚇行動をとります。

アニメ映画などでよくする逆立ちのポーズは、威嚇の一種で、マダラスカンクが行う行動です。

他の種はシッポを高く上げるような威嚇をします。この警告を無視してきた動物に向かって、放出するという訳です。

この分泌液は極めて強力で、直撃した動物は、失神したり、最悪の場合、死に至らしめることもあるようです。

分泌液には、チオールという成分が含まれているのですが、これは麻酔薬などに使われることもあるほどで、直撃した動物に大ダメージを与えます。

ということで臭い分泌液というよりかは、もはや毒と言ってよいレベルの代物のようです。

余談

ちなみ、キッチンのコンロからガスが漏れていると、独特の臭いがします。いわゆるガス臭い状態ということですが、都市ガスなどの臭いの正体はこの「チオール」です。

元々、ガスは無臭なのですが、それですと漏れていることに気づけませんので、チオールによって臭い付けが施されています。
これは「ガス事業法」という法律により、定められていることです。

非常に強力な臭いを放つため、1000倍まで薄められて、臭い付けされています。

警告のサイン?

これほどの強力な「捕食者撃退手段」を持っているスカンクですから、生息地域を共にしている他の動物たちも、スカンクの恐ろしさは判っているのだと言います。

スカンクの黒と白を基調とした特徴的な模様は、自然界、動物界においては一種の「警告色」と考えられています。

普通の動物は、周りの背景に溶け込むように、目立たないような体色をしており、擬態をしますが、

スカンクの場合は、「僕に関わったら痛い目(臭い目)に遭うぞ!」ということを知らせるサインとして進化したとされています。ヤドクガエルと同じ理論ですね。

その為、スカンクを捕食しようとする動物は少なく、
嗅覚の弱い鳥類(フクロウや鷲などの猛禽類)以外は、ほとんどいないようです。

その様な状況が招いた悲劇なのですが、周りの動物が皆避けてくれるので、逃げるということを知らないスカンクは、道路に出た際に、向かってきた車にも威嚇ポーズをとってしまい、その結果、ハネられてしまうこともあるようです。

余談ですが、
スカンクの頭から尻尾まで伸びているストライプ模様は、象徴的でもあり、ギターのネックに一本線が入ったものがあるのですが、スカンクストライプ、スカンクラインと呼ばれています。

 

性格は臆病

ペットとしても飼育可能なスカンクですが、やはり本来の性格が臆病なため、なかなか懐いたりはしにくいようで、犬のように撫でて可愛がったりとかは難しいようです。

本当に子どもの時から飼育していれば、懐いたりじゃれたりは出来るのですが、個体差がありますので、一概には言えないところではあります。

しかし、野生化のスカンクは大変危険です。実はスカンクは、狂犬病の媒介者として有名なのです。

放牧している家畜などに媒介してしまうことで、害獣として認識されており、割と厄介者とされています。

アメリカの一部地域では、人間がかかる最大の原因が、スカンクによる感染です。感染したスカンクは大変攻撃的になるために、周りに媒介しやすくなってしまうのです。

日本ではあまり関係ない話ではありますが、逃げ出して野生化して繁殖して激増した動物、というのは、日本でもおりますので、そうならないように気を付けなければなりませんね。

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